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“自由”と“束縛”のはざまで、ものづくりは進化し続ける

今回のお相手

鎌倉彫伝統工芸士の小園敏樹さん。工房「青樹庵」から生み出される作品は、国内外で高い評価を受けています。また作品づくりだけでなく、その魅力を国内はもとより、スペイン展、アメリカ展など、海外へ向けて発信されています。「伝統の中にある革新」新たな作品を生み出し続ける小園さんを虜にする、ものづくりの魅力とは。

作品一覧

鎌倉彫がまぐち

網代紋布張箱

梅紋雲板

小判欅紋の手繰り鉢

漆・木・炭の香りが漂う“青樹庵”



――こちらの工房全体に、素敵な香りが漂っています。



小園敏樹氏:
ここ「青樹庵」は、静かで落ち着いた環境でものを作りたいという想いに適した場所で、平成17年に構えました。建物自体は昭和33年に建てられたものなので、60年近く前のものとなります。友人たちと、半年くらいかけて土台から改造していきました。床下に炭を敷いているので、この工房には漆と木と炭の匂いが、漂っています。

鎌倉彫は、彫り、塗り、木地と通常は分業制となっていますが、私の場合は昭和58年から木工、漆工、彫刻を学び、全て自分でやっています。一貫した自分の想いを、作品にして届けたい。恩師からは「人を幸せにする仕事じゃないとだめだよ」と教わりましたが、私の作った鎌倉彫を通じて、人が幸せになれば一番だと思っています。そのためにも発想の段階から、全て自分でやりたいと思い、そうしたことが出来る場所にと、鎌倉でもひときわ静かなこの地に「青樹庵」を構えたのです。



徐々に確立された鎌倉彫への想い



小園敏樹氏:
私が生まれ育った時代の鎌倉は、東京オリンピックが終わって間もない頃、鎌倉川の開発にちょうど入る時期で、まだ自然も多く残っていました。小さいころは竹で水鉄砲や竹馬を作ったりして遊んでいました。近所のおじいさんたちから、セミをとる時にクモの巣をまとめて使う方法や、カエルを餌にして、アメリカザリガニを釣る方法などを教わりました。その時から、自給自足の下地「ほしいものがなければ、工夫して作る」という考えができていったと思います。

家業が鎌倉彫だったので、家にいる職人さんたちの食事づくりを手伝っていました。秋田からやってきた職人さんたちと寝食を共にしていました。その当時は鎌倉彫がブームで、うちにも多い時は職人さんが5、6人いて、盆と正月を除いた363日、働いていました。

そうした環境だったので、親から強制されることこそなかったものの、自然と家の仕事を手伝うようになっていきました。この世界では、塗りは「箆(へら)付け八年」といって、下地の仕事ができたら中塗りをして、それから上塗りというように段階が決まっています。私も下地から始めましたが、父から「お前の下地の仕事が、そのあとすべての段階に反映されて、待っているお客様の元に納められるんだ。」と言われたのを覚えています。漆器の場合、下地は隠れる部分ではありますが、下地が悪いと後でボロが出るのです。ごまかしがきかない仕事なのだと教わりました。

そうして少しずつ仕事を覚えていきましたが、すぐ家業につくことはありませんでした。高校時代に“自分の得意なものを活かせ”と進路指導で言われたことがきっかけとなり、昔から好きだった絵を思い出し、美大へ進みました。実は、幼稚園の頃から絵を描くことが好きで、鎌倉市や国の代表としてインドなどの児童絵画の交流展に常連で出品していました。

無事美大に進みましたが、次第に海外青年協力隊などへの憧れから「世界を渡り歩きたい」という想いが生まれ、商社マンになるために、途中で受け直して青山学院大学経営学部へ進みました。自分の好きな道へ邁進していたので特に不安もなく、駅伝の選手に選ばれた人のように、「早くスタートラインに立ちたい」と武者震いする毎日でした。

――商社マンを目指していた小園さんが、どうして鎌倉彫の世界に。



小園敏樹氏:
父の作品展で一堂に並んだ鎌倉彫にすっかり魅せられてしまったのです。“自分の知らない世界”にどんどん引き込まれていきました。このときの驚きと感動が、きっかけとなり鎌倉彫に携わるようになりました。

斉藤寿一さんや佐藤広佐さんに師事し、それから父の元で漆を勉強しました。まだ自分のものを確立するという段階ではありませんでしたが、自分の作りたいものや「こうしたいな」という想いは芽生えていました。どんな人にも「師匠はこう思っているけど、私はこうしたい」とか「父はこういう塗りをするけど、別の塗りを表現したい」という想いはあるはずです。修業中なのでそういった気持ちは表には出さなかったものの、自分の中でずっと大切にしてきました。そうした“想い”は、ものづくりにおいて大切なことだと思います。


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